DAILY SHORT COLUMNS - Daily Business -

 

2001.09.30

最近嬉しかったこと Vol.9

ボランティア志望の彼「そうじゃあなくてさ・・・、うまく言えないんだけど、やるだけの価値があると思えることが見つからないのね。誰かが何か仕事をすればしただけ余計なものが世の中に増えるだけって思わない?どいつもこいつもカネカネカネだしさあ、大体働かないと、ていうよりカネがないと生きていけないことがおかしいと思うんだよね」

ベンチャー立ち上げ志望の彼「こいつどうなっちゃってるわけ?もう何言っちゃってんのか全然解らないよ」

寿司屋を継ぐ彼「なあ、○○、ちょっと財布出してみせてくれる?」

ボランティア志望の彼が持っていたバッグの中から取り出した大判の財布を、寿司屋を継ぐ彼がベンチャー立ち上げ志望の彼に開いてみせながら「これだもん・・・。ダイナースだろ、アメックスに、VISAに、JCBに、なんだこれ、セゾンまであるよ。おまけにゴールドだぜみんな、スポーツジムまであるよ・・・。おまけにこれ見ろよ。20〜30万はあるよ。高校生の財布か、これ・・・」(続く)


2001.09.29

最近嬉しかったこと Vol.8

ボランティア志望の彼「それはやめとく。それよかおまえこないだ貸した金返せよ」

ベンチャー立ち上げ志望の彼「うっ・・・、そう来たか・・・」

ボランティア志望の彼「しかしやりたいこと見つけるのはきついよな。やりだしたらやめられないしなあ。もともとやりたくないこと始めちゃってさあ、やめられなくなっちゃったらもう地獄だぜ」

寿司屋を継ぐ彼「しかしお前みたいな奴がさあ、自分がやりたいことが見つからないっていうか、何もやりたいことがないっていうのが凄い不思議なのね。一番先に決めてそうな奴じゃん」

ベンチャー立ち上げ志望の彼「こいつはさあ、やりたいことが多すぎて何か一つに決められないだけなんじゃないの」(続く)


2001.09.23

最近嬉しかったこと Vol.7

ボランティア志望の彼「だからさあ、最初はボランティアで始めて、やっていくうちに必要な経費分だけは確保できるようにしたいわけ。もちろん必要なだけで儲けはなしね。うちの親父なんてさあ、あくどいことして稼いでるわけよ。それで俺も生きてるわけだし、もううんざりなわけ。だからあの親父騙してさあ、始める金出させるわけよ」

寿司屋を継ぐ彼「それで何のボランティアやるわけ?」

ボランティア志望の彼「まだ考えてない・・・」

他の二人が口を揃えて「何じゃそれっ!」

ボランティア志望の彼「まあ大抵のボランティアはもう実際どっかで誰かがやってるわけだしさあ、そういう人達のバックアップかなって感じよ」

ベンチャー立ち上げ志望の彼「おまえやりたいことはっきりしないんだったら、俺の事業に出資しない?」(続く)


2001.09.22

最近嬉しかったこと Vol.6

他の二人から、「おまえばっかじゃねえの」とか、「遊んで暮らしていけるなら、誰も苦労なんてしないよ」などと言われながら、一言ぼそっと彼が発したのは、「ボランティア・・・」という一言でした。

他の二人とも、彼のそんな考えは始めて聞き及ぶ様子で、「ボランティア???・・・」としばらく絶句していたのですが、ベンチャー立ち上げ志望の若者が、「だってボランティアはボランティア、それじゃあ生活できないだろう」と、私の素朴な質問をまるで代弁してくれるかのように不思議そうに尋ねました。

そのボランティア志望の彼曰く、「世の中になくてはならない必要なことは、仕事にはならないんだよな。みんな自分が儲けることしか考えてないし、人を騙したり蹴落としたりさあ、ろくなもんじゃねえよ。まともな仕事なんてあんのかなあ。だから仕事なんてしたくないんだよね」

他の二人「・・・・・」(続く)


2001.09.19

最近嬉しかったこと Vol.5

祖父母の代からの土地を中心としたそれ相応の財産を有する家庭のようで、それらをすべて売り払えば、それなりの資本ができるだろうとのこと。

出店する国については、物価水準が日本とさほど格差がない先進諸国をターゲットとしていて、自分や家族をどの程度の経済水準に置きたいのかということまでも考慮するしたたかさも持ち合わせていました。

まずは当面一人で海外に出て、事業と生活の基盤を作ってから、日本の生活をすべて整理して両親を呼ぶつもりなのだとか、なかなかどうしてしっかりしたものです。


これまたユニークな発想なのが、仕事をしたくない残りの若者です。

はぐれ雲とルパン三世が憧れとか、随分対照的なキャラクターだと思うのですが・・・。

ともかく何もやりたいなりたいと思えるものがないのだそうです。(続く)


2001.09.18

最近嬉しかったこと Vol.4

私はそんな彼がどこから来てどこへ行こうとしているのか、そして今の彼をそんなふうに衝き動かしているものが何であるのかといった疑問にすっかりと支配されてしまいました。

私が何をどう考えたのかなどという事柄は、まったく推測の域を出ませんし、ここで述べるのは彼に対して失礼な気がしてしまいます。


家業の寿司屋を継ごうとしているもう一人の若者のプランもなかなかユニークなものでした。

彼は、既に何回かの海外渡航経験があるようで、アメリカやヨーロッパ各地で体験した食文化と日本料理との融合をはかり、現地の食材を生かした、そして現地の人達のテイストに合わせた新しいスタイルの日本料理を、新しい空間で提供していくことをイメージしているようでした。

また彼のスタイルは、決して自らが調理の修行をしたり、厨房に立ったりするのではなく、あくまでプロデュースに徹していくことのようです。(続く)


2001.09.16

最近嬉しかったこと Vol.3

ベンチャービジネスを立ち上げようとする一人は、景気に左右されず、ずっと継続して続けていける業種は衣食住関連産業であろうから、それに専心して利益を確保することを大前提としているようなのですが、それらの基盤事業からの充分な利益によって、芸術振興のための憲章機関の創設であるとか、熟壮年世代社会的再生機関やスーパーキッズ養成機関の創設であるとか、二十歳以上も隔たりのある私自身があたためている事業計画にも近く、はっとしてしまうほど斬新で、なおかつユニークなネーミング、さすがに普段毎日考えているだけあって、まだ他にも色々な独創的な事業アイディアを次々と披露していました。大抵はまだ事業計画としての体は成してはいないのですが、末恐ろしい将来の大物という素直な印象を受けるには充分なだけの説得力を感じてしまいました。

おまけに最も印象に残っているのは、資本づくりのための各種事業において収益をあげていくためであるならば、「豚野郎どもに土下座だってするし、奴らの靴だって嘗めてやる」という吐き捨てるような厳しい強い口調での彼の弁でした。(続く)


2001.09.14

最近嬉しかったこと Vol.2

進学する一人は、卒業後にも就職するつもりがなく、できれば在学中にベンチャービジネスを立ち上げたいと、様々な事業の構想を今から練っており、大学も合格できなければそれでいいとのこと。

家業を継ぐもう一人は、両親の寿司屋の経営状況がもうこの数年細ってきており、営業のスタイルを根本的に変えて海外で営業し、両親を連れてつまらない日本から脱出して海外移住をしたいとのこと。

さらにもう一人は、何も仕事としてやりたいことがなく、できるだけ何もしないで生きていきたい、でも働かなければならなくなれば、割り切ってどんな仕事でも最低限のことをしてしのいでいくとのこと。ちなみに彼の家庭は、相当に富裕なようです。

私は彼らにとても興味深く惹かれてしまい、もともと降りるはずだった駅をいくつも通り越して、彼らの会話の会話に聞き入ってしまいました。(続く)


2001.09.05

最近嬉しかったこと

先日電車での移動中のことです。すぐ近くに立っていた制服姿の男子高校生三人組の興味深い会話に、私は思わず聞き耳を立ててしまいました。

彼らの来年の卒業を控えての今後の進路についての会話だったのですが、三人のうちの一人は大学進学を、一人は家業の寿司屋を継ぎ、もう一人はフリーターとしての今後を想定しているとのことでした。

三人三様まったく方向性は異なるかのようですが、彼らの感性や価値観は共通していて、つまらない世の中、志望する職業はこれといって何もなく、将来を見通してみても何の希望も感じていないようなのです。

彼らは、だからといって斜に構える訳でも自棄的になるでもなく、何もないから自分達で創っていくしかないという前向きな姿勢があって、聞き及んだ構想自体は抽象的で、それらを語る会話にも幼さはありはしたものの、それも彼らの世代では至極当然なことですし、彼らの若いパワーや斬新な発想が伝わってきて、何だかとても愉快痛快な気分になりました。(続く)