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2005.05.24 ■「談合が正業」脈々と 橋梁メーカー強制捜査

 橋梁(きょうりょう)(鋼橋)工事談合事件で、談合担当を務めた2人のメーカー幹部が、朝日新聞の取材に、40年以上続く談合組織の実態を証言した。93年のゼネコン汚職事件を機に、政官界側から落札会社を指名する「天の声」が出にくくなったため受注調整が活発になったことや、発注者から天下り要請があることを明かした。近年は発注量が減る中、生き残りのため「高値」確保の談合を続けたという。(村上潤治、河原田慎一)

 2人によると、二つの談合組織のうち、古参17社で作る「K会」の前身・旧紅葉会が発足したのは60年ごろ。約10年後、ゼネコン業界が国会議員の政治力を使って受注するという情報を得て、「我々も政治活動をしないといけない」という声が上がった。

 同会では、メンバーで旧経団連の重鎮企業だった三菱重工業を「業界代表」にして政界への影響力を強め、同社はその後、同会の受注調整の仕切り役となった。

 そのころから、政官側からの業者指名が受注調整に影響を与えていたが、状況を変えたのが93年に茨城県知事らが逮捕されたゼネコン汚職事件。「この事件後、国の工事では、役所から『天の声』が出なくなった」と2人は口をそろえる。

 旧紅葉会と、後発30社の「A会」の前身・旧東会は、91年に談合情報の流出による会員会社への恐喝事件をきっかけに解散した。しかし、「役所の調整がなく、水面下の連絡だけでは対応しきれない」こともあり、2組織は再発足。受注調整が本格化したという。

 しかし、天の声が出にくくなっても、発注者側の天下り要請は続いたという。発注規模が年間約1千億円の日本道路公団について、「天下りが途切れないよう、次々と元職員を各社に送り込んでくる」と語った。

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 橋梁専業メーカーで談合役となる営業担当部長は「中枢ポスト」。その後、順調に出世し、社長に就任するメンバーもいた。横河ブリッジの現社長も、91年当時の旧紅葉会名簿に名前がある。

 「談合が正業」と評価されるという。組織内では、談合担当の部長から役員に昇進することを「卒業」と称し、以降は直接調整にタッチしない。こうして談合担当の身分保証と秘密保持を図り、談合組織を守ってきたという。

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 日本橋梁建設協会などによると、鋼橋はバブル経済当時、本四架橋など大型工事が次々と発注された。市場規模は1兆円に迫り、各社は工場新設ラッシュを迎えた。しかし近年は、公共事業の落ち込みが激しく、「今は大きくても数十億円規模の案件しかない」(業界関係者)と工事の小粒化を憂える声が渦巻く。

 A会元会員は「業界の生き残りのため、談合しかなかった」。予定価格ぎりぎりの高値で調整し、利益確保を図ったという。

◆メーカー側謝罪

 刑事告発された橋梁(きょうりょう)メーカー各社は23日、決算発表などの場で「厳粛に受け止めている」(川田工業)など相次いで謝罪の言葉を口にした。

 石川島播磨重工業は「世間をお騒がせして心中より申し訳ない」とのコメントを発表。JFEエンジニアリングなどほぼ各社が謝罪コメントを出した。

 一方で大手橋梁メーカーの幹部は「談合なんて戦後何十年もやっている。土光(敏夫・元石川島播磨社長)さんの時代から。何で今ごろ騒ぐんだ」と本音を漏らす。

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◆2談合組織の主な流れ

 60年    「紅葉会」が談合の基本方針となる「諸規定」をつくる。数年後、後発メーカーでつくる「東会」も結成される

 91年11月 談合に関する内部資料をもとに三菱重工業などが脅される。「紅葉会」「東会」が自主的に解散

 92年 4月 内部資料の流出元だった橋梁メーカーから元総会屋が現金1億円を脅し取る

 93年ごろ  「紅葉会」「東会」が「K会」「A会」に名前を変えて復活

 94年11月 警視庁が三菱重工業から現金を脅し取ろうとした元総会屋らの恐喝グループを逮捕。うち6人は1億円を受け取ったとして再逮捕される

 01年    横河ブリッジの部長が「K会」の常任幹事に就任。それまでの三菱重工業主導に代わり、談合組織の実権を握る

 04年10月 公正取引委員会が立ち入り検査を実施

 05年 5月 公取委が8社を刑事告発

〔朝日新聞〕


2005.05.19

■オリックス、50歳以上の契約社員採用を2.3倍の200人に


 オリックスは中高年の人材活用を加速させる。50歳以上の営業経験者を採用しリース契約などに生かす「営業推進役」について、2005年度は前年度比2.3倍の200人を採用する。過去最多の採用数となる。営業推進役出身で初の支店長も誕生させた。豊富な経験や人脈を持つベテランを生かし、事業を拡大する。

 オリックスは1994年に契約社員として営業推進役制度を設立。金融業界出身者を中心に今年3月末で283人が勤務しており、最高齢は72歳。

〔日本経済新聞〕


2005.05.16

■高額納税者、1位はサラリーマン

 国税庁は16日、2004年分の確定申告で所得税額が1000万円を超えた高額納税者を全国の税務署で一斉に公示した。

 公示対象者が4年ぶりに増加に転じ、上位の納税額が大型化するなど、景気回復傾向が反映されたとみられる。上位100人では、オーナー企業の経営者らが顔をそろえる一方、業績に応じて巨額の成功報酬を得た金融マン6人も入り、投資顧問会社「タワー投資顧問」の清原達郎運用部長(46)がサラリーマンとして初の番付トップになった。納税額は歴代12位の約37億円で、約100億円の報酬を受け取った計算になる。

 トップの清原部長は02年分の番付で納税額約4億円で31位に初登場、03年分で約8億円で8位になった。

 1981年に東大を卒業後、野村証券に入社。その後、ゴールドマン・サックス証券など複数の外資系金融機関で投資部門の責任者などを務め、98年、タワー投資顧問(東京都港区)に移った。

 タワー投資顧問は、大手金融機関や外資系金融機関の系列に属さない「独立系」の投資顧問会社。90年設立で、役員と社員は計15人だけだが、運用する資産の総額は約2600億円に上り、国内に二十数社ある独立系投資顧問会社の中では最大規模という。

 同社は、大企業から企業年金を募り、その資金を元手に、国内企業の株式などに投資して運用。年間約3000社を直接訪問して財務内容などを分析し、本来の企業価値と比べ割安な銘柄を見いだす手法が特徴という。

 清原部長らが運用しているのは、「タワーK1J」というファンド。株安と低金利のなか、99年の運用開始から毎年15―35%の運用実績を上げ、03年度には102%もの驚異的な利回りを達成した。今年3月までの6年間で、元本が6・4倍にも膨れ上がった計算になるという。同社は、「能力があり、大きな実績を収めた社員に高い報酬を支払う方針」。同社の今年3月期の営業収益は、前年の約3倍の150億円近くに上るが、清原部長がその3分の2を成功報酬として受け取った計算になる。

 ◆「土地長者」は最少◆

 確定申告した納税者は744万1000人で、前年より50万8000人(7・3%)増え、公示対象となった高額納税者も7万5640人で前年比2・3%増と、4年ぶりに増加。所得税額が10億円を超えたのは6人で前年の3倍となり、1億円以上も869人で125人増えた。

 読売新聞社などの調べによると、上位100人のうち、土地を売却した「土地長者」は5人で前年より2人減り、過去最少を更新。バブル期の91年の86人と比べ、17分の1に減った。

 株を売却した「株長者」は前年より4人多い33人で、半数以上の17人が、非公開の株式の売却で得た所得だった。上場などに伴う創業者利益は2人だけで、企業の合併・買収(M&A)の増加を背景に、M&Aに伴う株などの売却で7人がランクインした。

 一方、事業や給与、株式配当などの本業で所得を得たのは54人で、4年連続で半数を超えた。業種別では、美容・健康関連の会社から17人が番付入りした。

 番付に入った6人の金融マンのうち、清原部長を除く5人は、ライブドアによるニッポン放送株の買収資金調達に絡んで話題になったリーマン・ブラザーズ証券など、すべて外資系の金融機関の役員、社員だった。

 ◆高額納税者の公示=所得税法に基づき、1000万円超の所得税額を申告した人の氏名と住所、税額を税務署が公表する制度。「高額納税者の国への貢献を明らかにすることと第三者による納税状況の監視」が目的だが、個人情報保護の観点から疑問の声もある。

 政府税制調査会が02、03年、「廃止も含め検討する必要がある」と答申し、財務省が見直しを検討している。06年度税制改正に盛り込まれれば、来年から廃止される可能性もある。

〔読売新聞〕


2005.05.13


■会社への忠誠心、日本が世界最低 「非常にある」9%

 日本人の会社への帰属意識や仕事への熱意は世界最低水準――。そんな結果が、米 世論調査会社のギャラップの調べで明らかになった。帰属意識や熱意が「非常にある」と判定された人の割合はわずか9%で、調査した14カ国のうち最低。4人に1人が「まったくない」とされ、職場に反感や不満を感じているという。

 調査は今年3月に電話番号から無作為に選んだ千人を対象に、「自分の得意なことを行う機会が毎日ある」「自分が何を期待されているかがわかっている」「自分の意見が考慮されているように思う」「成長を励ましてくれる人がいる」など12問を5段階評価で答えてもらい、総合的に評価した。

 その結果、仕事への忠誠心や熱意が「非常にある」が9%、「あまりない」が67%、「まったくない」が24%となった。03〜04年に同じ調査をした他国と比べると、「非常にある」はシンガポールと並んで最低、最も高い米国(29%)の3分の1以下だった。一方、「まったくない」はフランス(31%)に次ぐ2番目の多さだ。

 同社は「米国は不満があれば転職する。日本は長期雇用の傾向が強いこともあって、相当我慢しているのではないか」と分析している。

〔朝日新聞〕


■世界競争力ランキング、日本は21位に 2ランク上がる

 スイスの国際経営開発研究所(IMD)は12日、経済の実力に教育や平均寿命など社会的指標を加味した05年の世界競争力ランキングを発表した。日本は60カ国・地域中、総合21位で、前年の23位から2ランク上がった。1位は米国。中国が昨年の24位から31位へ大きく下がったことについて「経済的成果は卓越しているが、経済界の評価調査で非常に否定的な見解が出たため」としている。

 ランキングは経済状況(日本は21位)、政府の効率性(40位)、ビジネスの効率性(35位)、インフラ整備度(3位)の4分野にわたり計314項目を指数化して算出。日本は、政府の効率性が昨年の37位から下がったが、ビジネスの効率性が37位からやや上がったことやインフラ整備度が高位を保ったことなどから総合ランクが上がった。

 日本が1位となった項目は外貨・金準備高、特許付与件数、中等教育普及率、平均寿命など。法人税率の高さと語学力の2項目は最下位だった。外国人労働者を受け入れるための移民関係の法律や、主要都市の住宅を除く商品やサービスで調査した生活費指数も59位で低迷している。

 同調査で日本は90年代はじめまで首位だったが、その後は後退。03年から少しずつ回復してきている。05年の課題としては、公共部門の再編成や東アジア諸国との経済協力を高めることなどを挙げている。

 全体的な分析として、「アジアなど地域内の不均等な成長率が経済的、政治的な緊張を生み続けている」などとしている。IMDはスイス・ローザンヌにある欧州屈指のビジネススクール。

〔ロイター〕