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2005.07.30
■みずほ銀:スパイウエア撃退策、暗証番号を銀行が指示

 みずほ銀行は30日、インターネットバンキングの暗証番号などを盗み出すソフトウエアの「スパイウエア」に対し、新たな撃退策を8月下旬から導入することを明らかにした。同行の利用者が、スパイウエアを利用したとみられる預金不正引き出しの被害に遭ったことを受けたもので、利用のたびに暗証番号の組み合わせや順番を変えてスパイウエアを無力化するのが特徴だ。

 スパイウエアは、利用者が知らない間にパソコン内にインストールされ、保存されている情報をインターネット経由で盗み出すソフト。無料で入手できる画像や楽曲のフリーソフトをダウンロードする際に感染することも多い。

 みずほ銀のネットバンキングは現在、利用者がキーボードで6ケタの暗証番号を入力する仕組みで、パソコンのキーボード操作の情報を丸ごと盗み出すスパイウエアの格好の餌食になりかねない。このため、スパイウエア撃退には入力方法の変更が必要と判断、新方式の導入を決めた。

 具体的には、6ケタの暗証番号のうち4つの数字を入力するよう銀行側が利用者に指示。数字の入力順序もその都度変えるため、かりにスパイウエアに感染していても預金の不正引き出しなどの被害は防止できる。

 また、キーボードではなく画面上に表示される「ソフトキーボード」をマウスで操作して暗証番号を入力できるようにし、キーボード操作情報から暗証番号が割り出されないようにした。

 ネットバンキングのスパイウエア対策では、利用者に乱数表を配って暗証番号を利用のたびに変える方法を使っている銀行もある。しかし、乱数表を紛失したり、第三者に渡ってしまう懸念があった。

 みずほ銀のネットバンキング利用者は約80万人。7月上旬には、スパイウエアで暗証番号を盗まれたとみられる預金者の口座から、500万円が不正に引き出される被害が発生していた。【平地修】

〔毎日新聞〕


2005.07.06


■エイズ新薬開発、体内ウイルス「激減」 熊本大教授

 副作用がほとんどなく、従来の薬が効かなくなった人にも効果の高いエイズ新型薬を開発したと5日、熊本大の満屋裕明教授(内科学)が神戸市で開かれたアジア・太平洋地域エイズ国際会議で発表した。細胞に入り込もうとするエイズウイルス(HIV)を入り口でシャットアウトするこれまでにない働きを持つ。現行の薬は、耐性ウイルスができて、早ければ数日で効かなくなるが、新型薬は耐性ウイルスが極めてできにくいという特徴もある。製品化されれば、治療の新たな切り札として期待される。

 同教授によると、コードネーム「AK602」というこの新薬は、細胞の表面にあるCCR5というたんぱく質にくっつく。このたんぱく質は、HIVが人間の細胞に入り込む入り口。ここに異物がくっつくことで、ウイルスは細胞に入れなくなる。

 米国のエイズ患者計40人を対象に臨床試験を実施。1日2回、1回600ミリグラムを10日間のんだ結果、ウイルス量が平均約100分の1に減り、600分の1まで減った患者もいた。副作用は、便が軟らかくなった人がいた程度だった。

 AK602は、CCR5の全体ではなく、HIVの入り口部分を選んでふさぎ、人間にとって必要な働きをする部分はあまりふさがない。さらに、従来の薬がウイルスを攻撃するタイプなのに対し、新型薬は人間の細胞に反応する。このため副作用が出にくいという。また、今回対象にした40人のほぼ半数は、薬のほとんどが効かなくなった多剤耐性エイズの患者で、この人たちにも大きな効果を示したことになる。

〔朝日新聞〕