DAILY SHORT COLUMNS - Daily Life -

 
2006.06.27
■世界第2位の富豪、4兆3000億円寄付で記者会見

ニューヨークで記者会見するウォーレン・バフェット氏(右)とゲイツ夫妻=AP 【ニューヨーク=大塚隆一】総額約370億ドル(約4兆3000億円)相当の私財を慈善団体に寄付する米国の投資家ウォーレン・バフェット氏(75)は26日、最大の贈与先となる財団を運営するビル・ゲイツ米マイクロソフト会長(50)とニューヨークで記者会見した。

 世界2位の富豪が1位の富豪に巨額の資産を譲ることについて、バフェット氏は「私は大半の人たちより金の使い方が上手だ」と述べ、資産の約85%を手放すことについては「子供は親から、社会での地位を引き継ぐべきでない」という持論を披露した。

 一方、寄付の8割強にあたる約300億ドル(約3兆5000億円)を受け取るゲイツ氏は「これほどの金を正しく使うのは大きな課題だ」と話し、途上国の医療対策や米国内の教育改善に力を入れると強調した。

〔読売新聞〕


2006.06.26

■生活費高い都市、モスクワが東京抜き1位に・米企業調査

 世界で最も生活費が高い都市は東京からモスクワへ――。組織・人事コンサルタントのマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(米ニューヨーク)が26日まとめた2006年版の海外駐在員生計費調査でこんな結果が出た。

 調査は毎年3月に実施。衣食住や交通、娯楽など海外駐在員が生活する上で必要な商品・サービス約200品目の価格を調査し、ニューヨークを100とした指数で各都市の生計費の水準を示した。

 世界主要144都市のなかで最も生計費が高いのはモスクワで前年調査の4位から一気に浮上。指数は123.9で前年より4.9ポイント上昇。不動産投資ブームで住宅賃料などが上昇したことの影響によると見られる。

 前年の1位だった東京は3位に下がった。指数は前年より15.6ポイント少ない119.1に改善。調査時点の為替相場が円安・ドル高基調だったため。ただ日銀はゼロ金利政策を解除するとみられ、日米の金利差縮小を理由にした円高・ドル安が進むと指数が上がる可能性もあるという。

〔日本経済新聞〕


2006.06.20

■イラク陸自撤退決定 月内開始、8月完了へ

 小泉首相は19日、イラク南部のサマワに派遣している陸上自衛隊を撤退させることを決めた。イラクのマリキ首相が同日、サマワを含むムサンナ州の治安権限が多国籍軍からイラク正式政府に移譲されると表明したことを受け、撤退条件が整ったと判断した。首相は20日、与野党党首会談などを経て記者会見し、陸自撤退を正式に発表する。額賀防衛庁長官が同日中に派遣部隊に撤退命令を出し、陸自は月内にも撤退を開始。クウェートへの出国を8月中に完了する。政府は陸自撤退後も、クウェートを拠点にした航空自衛隊の輸送支援活動は継続・拡大する方針だ。

 首相は20日午前に公明党の神崎代表と会談するほか、政府・与党連絡会議や野党党首らとの会談にも臨んで撤退の方針を説明。そのうえで記者会見を開き、陸自撤退の判断に至った理由などについて国民に向けて直接説明する。

 政府は同日、安全保障会議を開き、陸自撤退を決める一方、航空自衛隊の活動の継続や拡大についても協議する。首相は自民党総裁としての任期が切れる9月末までに陸自を撤退させる意向をすでに固め、決断の時期を探ってきた。こうしたなか、イラク正式政府が5月20日に発足し、撤退条件に掲げた「政治プロセス」に見極めがついた。

 今月15〜16日にはロンドンで日米英豪4カ国の担当者が協議。「19日にも治安権限を移譲したい」とする英国の提案が了承され、マリキ首相による治安権限移譲の発表に至った。さらに、首相は29日に予定される日米首脳会談などを踏まえ、マリキ氏の発表から時間を置かずに表明することが、首相在任中の撤退完了を円滑にすると判断したと見られる。

 政府は撤退を進めるため、近く物資の荷造りや輸送を担当する支援部隊をクウェートまで派遣する。月内にも順次撤収を開始し、1カ月程度でサマワからの撤退を完了させる方針だ。

 米国や国連から要請されている空自の輸送支援活動拡大については、撤退完了前にも実施するかどうか協議する。クウェートを拠点とする輸送を現在のサマワ近郊タリルから、首都バグダッドや北部アルビルへ拡大することを検討している。

 イラク派遣陸自による人道復興支援活動を巡っては、政府内で「派遣目的は達成された」(陸自幹部)として、早期撤退を求める声が出たが、多国籍軍と共同歩調をとる必要があり、最終的な撤退判断を見送ってきた。

〔日本経済新聞〕


■サマワ、賛否の2年半 陸自撤退、NGOに聞く

 賛否渦巻くなかで陸上自衛隊がイラクに派遣されてから約2年半。小泉首相が撤退を決めた。「非戦闘地域」とされたサマワだが、宿営地への迫撃砲攻撃もあった。給水活動、学校の復旧……。陸自の派遣は有効だったのか。イラクで活動したNGO関係者らに評価を聞いた。

●給水・道路補修は認知 「子ども救う病院を」

 防衛庁によると、陸自はサマワで267回の医療支援や、道路や学校の復旧などをしてきた。

 「イスラム圏の人たちは、その人の行動にメッセージがあるかどうかを非常に重視する。何もしないよりはよかったが、メッセージ性ではベストとは言えなかった」

 国際医療NGO「AMDA」の代表の医師菅波茂さん(59)は、米国に請われて出て行ったところに国際支援としての自衛隊派遣の弱さがあったと見る。

 今後は何をすべきか。自衛隊撤収にあたり、「日本はイラクを絶対に見捨てない。日本は唯一の被爆国である。日本は復興支援事業を続ける意思がある」という三つのメッセージを出し続けないといけないと説く。

 日本は政府の途上国援助(ODA)で病院整備を支援してくれた国という認識がイラクでは定着しているといい、菅波さんは「劣化ウラン弾で白血病やがんに苦しむ子どものための病院を日本が設立すべきだ。被爆国でなければできない支援で、イラク国内のどの政治勢力も反対できない強いメッセージとなる」と提案している。

 開戦前、開戦後とイラクの取材を続けてきたビデオジャーナリストの遠藤盛章さん(58)は、イラクの人たちが日本に求めたのは経済復興などだったという。「自衛隊は自衛隊でなくてもできる作業に終始した。日本政府には混迷のイラクを正常なかたちに戻す外交努力に期待したい」

 医療支援でイラクに9回入った「日本イラク医療支援ネットワーク」の佐藤真紀事務局長(45)が懸念するのは地元行政の質の悪さと治安の悪化だ。送った薬が病院に届かないこともあるという。「日本政府は自衛隊による支援よりも、行政が機能できるように指導してほしかった」

 イラクで医療支援した日本国際ボランティアセンターの原文次郎さん(42)によると、バグダッドの人はテレビなどからの情報で自衛隊が給水や道路を補修したことを知っているという。

 「引き続き生活基盤の支援が必要であるのは確か。他にも選択肢があった中で自衛隊がベストだったのかを検討する余地がある」と話した。

●「撤収時が最も危険」 陸自

 「撤収命令があれば、活動に一定の成果が出たと判断されたのだと思う」。昨年6月から今年1月まで、派遣部隊の広報官を務めた陸上自衛隊の山下博二2佐(40)はいう。

 仕事は新聞、テレビの取材対応。現地のニュースで連日のように陸自の活動が取り上げられた。帰国の直前、新聞に、日本隊について「愛情と倫理観にあふれた人々であることを見いだした」との記事が載った。「現地の人にも自衛隊の活動が認められた」と話す。

 一方、防衛庁幹部はこの日、「これからの撤収が一番難しい」と語った。

 撤収期間を短くするため、陸自は活動初期に使った発電機といった不用品の荷造りをすでに始めている。だが、基本計画で定められた600人という部隊の定員は復興支援活動のための要員。要塞(ようさい)化した広大な宿営地からの撤収活動には、施設科職種など撤収を専門とする部隊が不可欠だ。

 陸自内には「撤収をより安全に迅速に進めるためにも、600人という枠を外して撤収支援の専門部隊を増派したい」という考えもある。

 「部隊の撤収時が最も危険」。派遣当初から、陸自内ではそう言われてきた。車列を重ねる撤収時の部隊警備が大きな課題とされていたからだ。

 陸自は1日当たり最大1100人、平均で900人弱のイラク人を雇用している。撤収で職を失うことがあれば、不満が自衛隊に向けられる可能性もある。

 ある幹部は「復興支援活動を最後まで続けることが、部隊を安全に撤収させるために最も大事なことだ」と指摘する。

 現在、イラクで深刻な問題となっているのは電力不足。南部サマワも例外ではない。こうしたインフラ整備は、陸自の能力を超えている。活動実態と現地のニーズとのずれを放置すれば、それも不満につながりかねない。

 ある陸自幹部は「電力のようなインフラ整備は自衛隊の活動能力を超えている。イラクの復興支援は、自衛隊の活動から、ODAや民間の進出など第2走者に引き継がれる時期だ」と指摘する。(土居貴輝、川端俊一)

〔日本経済新聞〕


■イラク自衛隊:無事に帰ってきて…隊員の家族ら祈る

 「準備は進んでいる。政府決定を淡々と見守る」。小泉純一郎首相の撤退表明を前に、自衛隊幹部は漏らした。陸上自衛隊がイラク南部サマワで活動を開始して2年半。この間、隊員らが直接襲撃される事件は起きなかった。今も派遣されている隊員の家族らは「最後まで無事に帰ってきてほしい」と祈った。【岸本悠、伊澤拓也、反田昌平、永井大介】

 ◇「粛々と進めるだけ」…防衛庁

 「いつ政治判断が出ても大丈夫なように計画を練ってきた。後は粛々と進めるだけ」。東京・市ケ谷の防衛庁で、ある陸上自衛隊幹部は話した。現地では道路復旧などの活動を徐々に減らし、必要のない備品の整理などを進めているという。

 ◇お疲れ様と言ってあげたい…隊員の家族

 現在派遣中の第10次復興支援群の陸上自衛隊第12旅団(群馬県榛東村)に所属する林哲久2佐(45)の妻洋子さんは「帰ってきたらお疲れさまと言ってあげたい」と話した。テロや事故のニュースが流れても、「大丈夫だろう」と思い込むことで過ごしてきたという。帰国したら無事を祈る黄色いダルマに、3人の息子と目を入れるつもりだ。

 04年2月、先遣隊に続いて最初に派遣されたのは陸上自衛隊北部方面第三普通科連隊(北海道名寄市)が中心だった。警備小隊長を務め退官した門馬有道さん(57)は、派遣2カ月後に宿営地から約300メートルの位置に迫撃砲弾が撃ち込まれ、死への恐怖を感じたという。

 撤退方針を伝えるテレビのニュースに妻邦子さん(55)は「もう、隊員が誰もイラクに行かなくてすむのね」とつぶやく。門馬さんは「自衛隊が海外派遣されるのは当たり前の社会になると思う。本当に派遣の必要があるのかを毎回慎重に検討することが必要」と改めて語った。

 ◇今はホッとした…派遣の予備要員

 派遣の予備要員だった関東地方の30代の男性隊員は「命令があれば従ったが、今は命令が出ないまま終わって『良かった』と思う」とホッとした口ぶりで語った。

 実際に派遣され帰国した隊員からは「攻撃を受けない限り、武器使用は許されない。仲間の誰かが殺されなければ、自分を守ることさえできない。そんな自衛隊とは何なんだ」との悩みを聞いた。帰国後、うつ病になった隊員がいるとのうわさも耳にした。

 自ら派遣を希望したというこの男性隊員は「最後まで国民からの批判も強く『危険を冒してまでイラクに行って、何になったのだろう』と悩む隊員が多い」と仲間の胸の内を代弁した。

〔毎日新聞〕


■自民「自宅担保に生活保護」など検討…歳入歳出改革

 自民党は19日、歳出歳入一体改革のうち、社会保障分野の歳出削減項目を固めた。自宅を担保に生活保護を受給し、死亡後に自宅を売却して返済にあてる「リバースモーゲージ」の導入などを検討する。

 公明党との調整を経たうえで、政府に実現を求める。

 政府・与党が財政再建目標としている2011年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を達成するため、社会保障分野で歳出削減するのは〈1〉医療〈2〉生活保護〈3〉介護〈4〉雇用保険の4分野。

 医療では、医療行為の対価として医療機関が受け取る診療報酬を、救急医療や小児科、産婦人科など医師不足や激務ぶりが問題となっている分野で手厚くし、それ以外で広く引き下げる。さらに、今後も「負担と給付の在り方を見直す」として医療制度改革を継続する姿勢を示す。

 生活保護では、給付水準を圧縮し、住宅費などの補助(住宅扶助)や一人親家庭に対する母子加算も見直す。介護は、自己負担割合の引き上げや介護報酬の在り方の見直しを検討課題とした。増加している軽度者に対する給付も見直す。雇用保険は、国庫負担について来年度予算編成にあわせて廃止を含め検討する。

 自民党では、これらの項目で今後5年間で総額1兆1000億円の歳出削減を目指す。

〔読売新聞〕


2006.06.14

■尊厳死、広がる関心

 政界で尊厳死問題に対する関心が広がってきている。小泉首相は日本尊厳死協会の会員になった。「死期が迫ったときに延命治療を拒否する」ことなどを申し合わせている団体だ。超党派の国会議員でつくる議員連盟も、来年の通常国会に「尊厳死」の申し出を認めた医師に法律上の責任が及ばないようにすることなどを盛り込んだ「尊厳死法案」の提出を目指す。ただ、どのような場合に尊厳死を認めるかなどの基準があいまいだとの指摘もあり、意見集約は簡単ではなさそうだ。(伊藤宏、餌取稔也)

●首相・奥田氏も「延命拒否」の協会に 事件のたびに会員急増

 「不治の病になった時に延命治療を断る尊厳死協会というのがある。10万円払って、終身会員になった」。小泉首相は4月、首相官邸での総合科学技術会議メンバーとの会食の席で、日本尊厳死協会の会員になったことを明らかにした。

 関係者によると、首相は尊厳死問題に関心を持っており、自ら資料も集めて検討したという。

 日本尊厳死協会は、76年に安楽死協会として発足。「安らかに、人間らしく死ぬ権利」を求める「尊厳死の宣言書」の普及を進める。宣言書は▽死期が近づいたら延命措置を拒否する▽苦痛を和らげる治療を望む▽数カ月にわたって植物状態になったら生命維持装置をやめる――などの内容。署名・押印し、年会費3千円か、終身会費10万円を払えば会員になれる。

 同協会の白井正夫事務局次長は「自然に任せながら、思いのままに残された日々を大切に過ごすという生き方もあるはずだ」と話す。

 90年に1万人ほどだった会員数は、90年代はじめに尊厳死をめぐる出来事が相次ぐなかで急増。今年3月、富山県射水市民病院の医師が患者の人工呼吸器をはずした問題も影響し、4月の入会者数は前月の4倍の2800人余りに。会員数は11万人を突破した。財界からも奥田碩・前日本経団連会長や牛尾治朗・ウシオ電機会長が入会、協会顧問になっている。

 男性が約3万7千人に対し、女性は約7万8千人と倍以上。協会は「日本では家族の介護・看病を女性が担うことが多い。終末期医療を目の当たりにし、自らの『死』を見つめ直す結果ではないか」と説明する。

●本人の意思確認は/判断基準は―― 議論残し法制化の動き

 死期が近づいたら、薬で痛みを和らげてもらい、死を迎えたい――。そう考える患者が増える一方、延命措置をやめることで法的責任を問われるのではないかと心配する医師も少なくない。

 協会の働きかけもあり、超党派の衆参国会議員は05年、「尊厳死法制化を考える議員連盟」を立ち上げた。不治の病となった患者本人の意思に基づき、医師が延命措置をしなかったとしても民事上、刑事上の責任を問われないようにするのが法制化の狙いだという。

 議連には国会議員67人が参加。幹事長の渡辺秀央参院議員(民主党)は「尊い命の最後が大切に扱われるために法制化を議論すべき時がきている」と話す。

 ただ、法案の賛否は死生観をはらみ、法制化への道のりは単純ではない。今国会には「人の死」を扱う二つの臓器移植法改正案が与党議員から提出されたが、いずれも審議されないまま継続審議になる見通しだ。

 「脳死」を巡り、関係議員の考えが様々で、与党内でも一つにまとめることが難しいからだ。

 尊厳死でも、議連は関係団体に意見を聴いているが、手放しで賛成する意見ばかりではない。

 日本弁護士連合会は「法制化は、近親者の負担や医師の免責などが目的という疑問をぬぐえない」とした。新日本宗教団体連合会も「末期の状態の判断や苦痛緩和の措置の内容は専門家の間でも意見が分かれる」と、尊厳死に関する基準のあいまいさを指摘した。

 議連では、法制化にあたって▽原則として自らの意思で宣誓書への署名を終えた人を対象とする▽本人の意思確認や病状の診断は、病院の倫理委員会の判断を根拠にする――など客観的な基準作りを模索している。

 それでも議連内にも「いつの時点での意思表示を有効と見るか」「無意味な延命治療かどうかの基準は何か」という指摘がある。「もし患者に意識がなく、家族が強く反対したら、本人の意思を尊重しきれるのか」などの意見も出ている。

〔朝日新聞〕


2006.06.13

■世界の軍事費、3.4%増の127兆円・2005年度

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は12日、2006年版年次報告書を発表、05年度の世界の軍事費の合計は前年より3.4%増え、1兆1180億ドル(約127兆4500億円)に達したと推計した。世界の国内総生産(GDP)合計の2.5%にあたる。米国が半分近い5070億ドルを占め、英国、フランス、日本、中国が続く。

 軍事費は01年の米同時テロ以降、米国を中心に増加を続けている。物価上昇率などを差し引いた実質ベースで、米国は00年度に比べ約1.5倍と大幅増加。ただ05年分については大型ハリケーン「カトリーナ」などによる軍出動も影響したという。

〔日本経済新聞〕


■ピカソ:「ゲルニカ」返還を スペイン・バスクの民族政党

 【パリ福井聡】スペイン北部バスク地方の独立を主張する民族政党らが、ピカソがスペイン内戦下の1937年、当時のフランコ将軍を支援するナチスがバスク地方の小都市ゲルニカを空爆したことに怒って描いた名画「ゲルニカ」のバスクへの返還を要求している。

 バスク地方政府はこのほど、非合法組織「バスク祖国と自由」(ETA)が3月に「恒久的な停戦宣言」したことを機に、「民主政治への移行と円滑な和平交渉に寄与するはず」と、「ゲルニカ」をバスク地方の中心ビルバオにあるグッゲンハイム美術館に移すよう要求した。

 ゲルニカはバスク語で「聖なる柏(かしわ)の木」の意で、数世紀にわたってスペイン国王がこの木の下で「バスク地方の『特権』への尊重を認めてきた」とされる民族のアイデンティティーの象徴。バスク各党の政治家は今も就任式で「バスクの地、ゲルニカの木の下で、住民を代表し職務遂行を誓う」と宣誓している。

 しかし、現在「ゲルニカ」を展示しているマドリードのソフィア王妃芸術センターは「度重なる移送で作品はとても再移送に耐えられない」と拒否。「ゲルニカ」は内戦中、資金集めのため各地を巡回した後、39年に欧州の戦火を避けて米ニューヨーク近代美術館に預けられ、フランコ将軍没(75年)後の81年、スペインに返還された。

〔毎日新聞〕


2006.06.12

■家事や育児、8割が妻任せ・厚労省が調査

 約8割の家庭で夫が妻に家事や育児をほとんど任せ、妻の半数が夫の協力度に不満を抱いていることが9日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の「全国家庭動向調査」でわかった。夫の育児への協力度が高いほど、子どもの数や妻が欲しいと思う子どもの数が多い傾向も判明。同研究所は「夫の育児参加が妻の出産意欲につながる」とみている。

 調査は5年ごとに行われ、3回目の今回は2003年に約1万4000世帯に調査票を配布、配偶者のいる女性約7700人の回答を分析した。

 家事の8割以上を妻が担う家庭は20―60代の約8割を占めた。夫が一切家事をしない家庭は40―60代で約4割、30代で約3割、20代で約2割となり、共働きでも夫が家事をしない家庭が約2割あった。

 育児の8割以上を妻が担う家庭も20―40代の約8割を占めた。夫が一切育児をしない家庭は40代で23%、30代で15%、20代で10%となり、乳児がいても夫が育児をしない家庭も9%に上った。

〔日本経済新聞〕


2006.06.07

■移住者、世界で1億9千万人 日本は受け入れ数20位

 国連は6日、世界の移住に関する初のアナン事務総長報告を発表した。これによると、05年現在生まれた国以外で暮らす人は世界で1億9100万人に及ぶ。日本には200万人が暮らしており、受け入れ国として第20位。移住者から本国への送金の世界の合計が昨年1年間で2320億ドルに達し、1020億ドルだった95年に比べると倍以上となっている。

 交通・通信の発達と経済のグローバル化が進む中、国連は9月、移住問題に関する首脳級協議を開く。報告はこれに向けた討論の基礎資料として準備された。アナン事務総長は「移住することは、うまくいった場合送り出した国にとっても、受け入れ国にとっても、移住した本人にとっても恩恵となる」と、移住人口の増加を前向きに評価した。

 報告書によると、不法適法を問わず、移住者が最も多く住んでいるのは米国で、約3840万人。世界中の移住人口の2割以上を占める。以下2位ロシア(1210万人)、3位ドイツ(1010万人)と続く。

 移住としては、迫害や貧困から逃れるための旧来的な「移民」だけでなく、高度な技術や知能をもった人々がよりよい労働条件を求めて国境を越えるケースが激増している。アナン事務総長は「かつて移住者を送り出すだけだったアイルランドや韓国、スペインが経済発展に伴い、人々をひきつける国になっている」と指摘。移住や移民に関する政策について協議する必要性を強調した。

〔朝日新聞〕


■人身売買、北朝鮮など12カ国が最低 米報告書

 米国務省は5日、北朝鮮やイランなど12カ国を最低レベルに位置づけた世界の人身売買の実態に関する年次報告書を発表した。北朝鮮は抑圧体制が人身売買の被害者を生み出しているとされ、脱北者が中国で置かれる苦境も取り上げられた。日本は依然として「基準を満たしていないが、改善の努力が見られる」という中間の評価だった。

 報告書は法整備や対策、被害者保護などの要素で各国を3段階に分類。最低レベルの国には援助停止などの制裁が科される可能性がある。

 北朝鮮をめぐっては、強制労働が行われている収容所に「推計15万〜20万人」が投獄されていると指摘。大勢が脱北するものの中国で不法滞在を強いられ、性的搾取も含めた人身売買の被害に遭いやすいとした。また、北朝鮮はモンゴルやロシア、チェコの工場に労働者を送り、監視のもとで強制労働を強いている疑いがあるともした。

 日本に関しては「女性や子供がタイ、フィリピン、ロシア、東欧から性産業のために送り込まれている」とした。ただ、政府の対応については改善の努力を評価、興行目的の在留資格の厳格化でフィリピン人女性の人身売買を削減したことなどに触れた。今後の対策として犯罪組織の摘発強化や関与者への厳罰化などが有用、としている。

 報告書は3段階評価のうち中間レベルの国の一部について、「実態が悪化している」ことなどを理由に「監視対象国リスト」に挙げている。日本は04年にリスト入りしたが、05年に外れている。

〔朝日新聞〕


■米大学生の6割が借金持ち、米教育省が報告

ワシントン──米国の大学生のうち3人に2人に、平均して1万9000ドル(約212万円)の「借金」があると、米教育省の国立教育統計センター(NCES)が5月末に発表した。多くの学生が大学進学のために、政府の学生基金に頼っている現実が、明らかになった。

報告によると、2003─04年度に卒業した大学生のうち、約65%が学生ローンを利用。平均で1万9202ドルを借りており、このうち1万7022ドルは、政府の学生基金が出所となっている。

州別に見ると、ニューヨークの学生の借入額が最も多く、ひとり当たりの平均は2万838ドル。続いて、ジョージアの2万767ドル、ミネソタの2万312ドルとなっている。

一方、平均借入額が最も少なかったのは、ネブラスカの1万6200ドルで、続いてデラウェアの1万6473ドル、カリフォルニアの1万7266ドルだった。

また、オレゴンとミネソタでは、学生4人のうち3人にあたる76%が、学生ローンを利用。これら2州では、教育関連の予算が削減されたため、学生の「借金」が増えたと見られる。

学生の借金額は、1990年代半ばから増加し、ここ数年は横ばい状態が続いている。しかし、民間の貸付額は過去10年間で激増。1993─94年には13億ドルだったが、2003─04年には106億ドルに膨れ上がっている。

〔CNN〕


2006.06.04

■しょうゆに赤ワイン上回る抗酸化作用あり

 [シンガポール 3日 ロイター] シンガポール国立大学の研究チームによると、東アジア諸国で広く使われているしょうゆには、赤ワインやビタミンC以上に細胞へのダメージを減らす効果があるという。3日付のストレーツ・タイムズ紙が報じた。

 科学者らは、しょうゆには赤ワインの約10倍、ビタミンCの150倍もの抗酸化作用があることを発見したという。

 赤ワインや果物、野菜などに含まれる抗酸化物質は、ヒトの細胞や組織を傷つけるフリーラジカルに対抗する力を持つ。

 フリーラジカルは老化の元凶としても知られている。

 さらに研究によると、しょうゆには、食後数時間にわたって血液の流れを50%改善する効果もある。

 一方で、しょうゆは塩分が濃く、食べ過ぎると高血圧になるため、注意が必要だ。

〔朝日新聞〕


2006.06.03


■東京都内、HIV感染最多 昨年417人

 1日1.14人。東京都内でエイズがじわじわと増えている。昨年1年間にエイズウイルス(HIV)に感染した人と、エイズを発症した患者の合計数は、過去最多の417人。15年前に比べて8倍に増えた。一方、感染の有無を調べる検査の受診者数は、伸び悩みぎみ。危機感を抱く都は、今年から始まった「検査普及週間」(1〜7日)に合わせ、啓発に力を入れる。(池田孝昭)

 「感染者は、実際には報告数の4〜5倍はいる。エイズ患者が増え続けているのは先進国では日本だけ。爆発的な流行につながるおそれがある」

 新宿駅南口にある都南新宿検査・相談室で、10年近く検査に携わる医師の山口剛氏(73)は指摘する。

 都内で検査を受け、感染や発症が明らかになった人は年々増え続け、90年の51人から昨年は417人になった。すでに感染が分かっている人も加えると計3938人で、全国の感染者の累計約1万1000人の4割になる。

 一方、検査そのものの受診者数は、社会問題化した92年に3万1千人以上だったのが、昨年は2万2千人。休日に検査をしたり、即日で結果が分かる検査も実施したりするなど様々な工夫が奏功し、ここ数年、増加傾向にはある。ただ、「手は尽くし、頭打ちになりつつある」と都の担当者は懸念する。

 HIVの増殖を抑える薬物治療の進歩で、エイズは致死的な病気ではなくなった。それだけに早期発見が重要だが、山口氏は「安心してしまっているのか、関心は薄れている」と嘆く。

 昨年、新たに感染が分かった人の9割は日本人男性。6割が外国人だった92年から状況は大きく変わった。感染源は同性間の性的接触が目立つ。

 年齢別では20代、30代が72%を占め、HIV感染の危険性が高まるクラミジアなどの性感染症の若者が増えていることも懸念材料だ。

 一方、全国では昨年1年間にHIV感染832人、エイズ患者367人が新たに報告された。合わせて過去最高の1199人となり、2年連続で千人の大台を超えた。

〔朝日新聞〕