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MINDSHOOTING ESSAYS -What's Cool Business!?-

■□■第3号■□■

 

≪CONSIDERATION≫

二十一世紀は、持てるより持たざることがクールな時代

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◎これまでの経済の成長の過程から成熟の段階に向かう二十一世紀

このところの世界の潮流である民主主義ならびに自由競争資本主義社会は、これまでの成長の過程から成熟の段階を迎え、21世紀においてはさらなる大きな世界の潮流となっていくことと思われますが、現状の私達の目の前には様々な深刻な問題が数多く横たわっていて、その成熟への道のりは、まだ相当に遠く険しいというのが私の認識です。

現状の方針や方法論の延長上での変化は発展であり、改革とは次元が異なります。これ以上の発展が不可能となりつつある成熟への過程としての現状において求められているのは改革なのです。改革のためにまず必要なのは、原点に立ち返ることです。かといってこれまでの方針や方法論のすべてを否定するわけではありません。一旦すべてを意識の上で白紙に戻し、再度取り入れるべきことは取り入れ、見直すべきことは改めて見直すことが改革への第一歩と言えます。

しかし、残念ながら私達はまだこれまでの習慣化された意識や価値観から脱却しきれず、日常の生活のうえでも将来に希望を持てず、また企業活動がこれほど行き詰まってしまっていても、まだ新しい改革の方針や方法論を見い出せずにいます。

 

◎異なる存在としてお互いの価値を尊重し合うことが新たな始まりとなり、そしてさらにお互いが役割を分担し協調し合うことが二十一世紀における新たな共通の価値の創造につながる

日本における戦後の高度経済成長は、このおよそ半世紀の間に世界の歴史にも例を見ない驚異的なスピードで私達の社会と生活を変えてきました。その急速な変遷は、やはりこれも世界にも例を見ないほどの世代間の意識の大きな格差を生み、価値観を多様化させました。同じ日本国民でありなおかつ単一民族でありながらも、熟年者と若者ではもはや別の国の人間同士であるかのように本質的には大きく異なっています。

この世代間の意識の格差の大きさや価値観の多様性自体は、本来何ら問題ではないどころか、新しい社会や文化の創造、またその質的向上にもつながる原動力ともなりうるにもかかわらず、それぞれの世代が自らの主張のためにお互いの意識や価値観を否定し合ってしまいがちなところに、まず大きな問題の根源が存在しています。同時代に生きるそれぞれの世代が、お互いの存在価値や役割を尊重し合い協調し合うことができたとしたら、そこから私達の社会や生活は急速にかつ本質的に改善されていくことでしょう。

世界的外交上の視点から見ても、国家単位で政治や経済を捉えるだけでなく、相互理解と相互尊重の基本理念を、これまでの形式的な建て前論としての基準から脱却して、現実的な具体性と実効性の基準に高めていくことができたとしたならば、現状世界の随所に見られる不均衡が徐々に是正され、そして紛争も減少していずれは根絶されていくことでしょう。

 

◎個人尊重とグローバリズムこそが、二十一世紀の成熟した民主主義ならびに自由競争資本主義社会を創るキーポイント

これまでの経済成長が進むにつれて、私達の社会には確かに表面上はカネとモノが氾濫するようになりました。そして私達の日常生活の利便性や円滑かつ効率の高い企業活動の追求から、情報化社会も高度に発達してきました。ところが、カネ・モノ・情報は一部に遍在して均衡がとれておらず、私達の多くはその恩恵を必ずしも受けらずにいます。それら国家や企業や一部の個人に極端に遍在してしまっているカネ・モノ・情報の不均衡を相応に是正することだけでも、私達の社会や生活を一変させうる大きな効果が期待できます。

語弊もあることでしょうが、そもそも昨今の不景気も、本質的には私達のネガティブな意識の産物に過ぎず、個人の基準で捉えれば、遊興や消費材などへの支出が貯蓄に回る程度で、好景気の頃とあまり変わりはないというのが、大半の私達個人の生活の実情であろうと私は認識しています。したがって、何らかのきっかけで私達個人が、貯蓄を支出に回すだけで景気はすぐに回復に転じてしまいますし、個人の消費意識が低下すればすぐにまた不景気に転じます。まさに世界経済は、本来私達個人の総合力により動向が左右されているのですが、欧米人に比較して国家や企業という組織への依存意識の高い多くの私達日本人は、民主主義と自由競争資本主義社会の本来の在り様に対して相当に鈍感であることは否定し難い事実であると言わざるをえないでしょう。

マネーゲームに踊らされず地に足を着けた視点で、マスメディアの経済関連報道に惑わされずに大局的かつ客観的に昨今の事象を捉えれば、銀行や大企業の業績低迷や倒産ならびに中小企業への皺寄せ、吹き荒れるリストラの嵐、相次ぐ不祥事や不正など、日々テレビや新聞を賑わす様々な事象も起こるべくして起こっていて、何ら後ろ向きに捉えるべきことではなく、改革への過程と前向きに捉えてよいことが大半であることも解ってきます。そもそも企業とは成長するものである反面衰退するものなのですし、私達個人が企業への依存から脱却して精神的に自立して自己を確立し、お互いの自己を尊重し合い、そしてお互いの役割分担により協調し合うことから生まれる本来あるべき形の個人の総合力は、他の如何なる存在よりも強力かつ絶対であり、その個人の総合力を円滑かつ公正に機能させていくための環境こそが、成熟した民主主義と自由競争資本主義社会そのものなのです。

 

日本の経済成長がもはやほぼ頂点にいきついてしまったことで、今後二十一世紀に向けて私達は既存の意識や価値観の転換を、さらには日本の経済構造の根本からの改革を余儀なくされています。まだニッチな市場の新たな開拓や既存の事業の再構築、あるいは全く新たな技術開発などにより、局所的な経済成長を見込める可能性はあるにせよ、もはや日本全体の経済成長をはかっていくことは相当に困難なことですし、それが可能であるにせよ、もはや世界経済全体の均衡という視点から見れば、これ以上の日本の一人勝ち的な経済成長はその恩恵よりもはるかに大きな弊害を生み出すことでしょう。

世界の経済成長の最先端を走る日本が、これまでの成長のノウハウとともに優れた人材と余剰資金を数多くの発展途上国に提供していくことで世界経済の不均衡を率先して是正していきながら、経済の成長から成熟へのノウハウを自らが実践して創り上げていく世界の真のリーディングカントリーとしての立場を確立していくことが、二十一世紀における日本の進むべき道ではないでしょうか。

これまでも日本は驚くべき金額の資金を、ODAなどの形で海外に放出し続けてきていますが、実際には金額に見合った効果は表われてきていませんし、何よりそれだけの実績にふさわしい世界の評価も受けてはいません。発展途上国が必要としているのは、搾取あるいは施しではなく、技術やノウハウの教育ならびに人材と資金両面による支援なのです。世界一の発展途上諸国への資金協力国家であるところの、そして何より真のグローバリズムの実現に一番近い位置にいる日本の、世界の先進諸国を主導していくべきポジショニングへの内外の潜在的期待は相当に大きいと私は認識しています。

 

 →第4号 「二十一世紀は、持てるより持たざることがクールな時代 〜公正かつ公平で、弱者と競争の敗者救済の仕組みを備えた社会の創造こそが現状の急務」に続く

 

 

 

≪EPISODE≫

 ▼Success
  >file#2-2 〜究極のビジネス?〜

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第2号で紹介した翻訳家でありまた国際私立探偵でもある私のガールフレンドのお姉さんとは、私のガールフレンドから頼まれて直接に彼女の資産運用の相談にのるうちに親密になりました。

彼女の考え方やライフスタイルを第一に考慮しながら、私からも様々な提案を重ねて創り上げた個性的で効率の高い資産運用方法とは、およそ以下のようなものです。

まず、本質的には彼女はいかなる組織にも属さないフリーランスの立場なのですが、彼女の知り合いの会社に一社員としての形式的な立場を設け、彼女が独自に受注した仕事の報酬は、依頼主から全額が一旦この会社に入金されるようになっています。そしてこの会社から常識的な金額が賃金として彼女に支払われ、その賃金に対しての源泉徴収と年末調整により日本国内の税金を支払うことで、現状まだ彼女は常識的な一国民としての日本国籍を有しています。

そしてその賃金と彼女の実質的な収入の差額は、様々な形式をとりながらこの会社から彼女に支払われます。例えば、国内不動産や有価証券など、あるいは彼女の仕事上で導入する様々な特殊機器などの購入を、この会社のアカウント上で行い、実際には彼女が使用するような形式をとったり、実際には彼女個人の仕事の出張であっても、この会社が社員の彼女を派遣するような形式をとって一切の費用を経費として計上してしまったり、あるいはこの会社と彼女の実際の仕事には関係しない各種事業に投資をしたりと、とてもここでの詳述が憚られるような様々な操作を重ねて、何らかの形で一定のこの会社へのコミッションを除く全額が結果的に彼女に戻されることになります。

 

彼女はそうして得た資金の大部分を現金として海外に持ち出しては、無税あるいは税率の低いタックスヘイブンやオフショアーセンターと呼ばれる国や地域にて直接不動産などを購入したり、コンサルティング会社時代からの様々なネットワークからの情報を生かして現地の企業に投資をしたりします。あるいは私のネットワークからも、例えば発展途上のインフレの激しい国での現地通貨による貯蓄(こういう国では銀行の利率も数十パーセントから百パーセントを超えるようなところも珍しくはありません)、さらには現地ドライバーを雇用しての個人タクシー事業、また購入した不動産の賃貸事業などを自ら起こしたりしています。

こうした一見リスクが高いと思われるようなことも、現地で投資した資金は現地で使う、つまり日本に向けて持ち出すということすら当初から考慮しなければ(つまり日本における課税を回避すれば)、通常の国内企業や機関および個人投資家が行う海外投資に比較して非常に高い運用パフォーマンスが得られるのです。

彼女の投資の原則は単純で、彼女自身が余暇を過ごしたりするために時々は出かけていきたいと思うようなお気に入りの国に投資をするということです。原則論どこの国でも外貨の持ち出しには厳しくとも、持ち込みは大歓迎ですし、ほとんどの国は外資を誘致するために様々な優遇措置をとっており、海外現地法人を設立することも若干の面倒はあったり時間を要したりはしても、決して難しいものではありません。日本国内の各国の大使館などでも、必要な情報は事前に入手できる場合がほとんどです。日本のような最低資本金制度もなかったり、あっても通常その金額は低いので、このところでは彼女は気に入った国に出かけていく度に現地法人を設立して、今や十カ国以上の国に様々な現地法人を経営しています。日本国内であれば小規模な事業しか起こせないような限られた金額であっても、物価水準の低い国では何倍あるいは何十倍もの現地における資金価値にもつながります。そしてさらに無税あるいは低税率の国ではそうした配慮も不要ですが、日本とさほど大差のないような先進諸国においても、それぞれの事業の採算をブレイクイーブンプラスアルファーにコントロールをすれば、実質限り無く無税ということになります。収益は経費として使ってしまえばよいのです。

 

この彼女が実践しているところのビジネスならびにライフスタイルは、PT(PERMANENT TRAVELER)としてのそれを指向しています。日本語にすれば終身旅行者というところでしょうが、このPTは欧米の富裕層においてはさほど珍しくはありませんし、実際に私の友人にも彼女の他に数名の内外のPTがいます。日本人にも一人姉妹紙"What's Cool Life!?"の第2号にて紹介した”さすらいのギャンブラー”(ご興味を感じていただけた方はこちらをご参照ください)がいます。彼は既に日本国籍を放棄してしまっていて、終身旅行者として実際にあらゆる国を旅して暮らしていますが、彼の場合は節税意識はほとんど皆無なので、典型的なPTとは次元を異にしています。

彼女は典型的なPTを指向して現在も準備進行中で、仕事上の拘束から解放されている間のほとんどを、最終的に彼女自身が居住し国籍を有するための無税あるいは税率の低い国を探しながら世界を旅して回っています。将来国籍を移すであろうタックスヘイブンあるいはオフショアーセンターを拠点にして、仕事をするあるいは余暇を過ごす各国を旅行者として行き来しながら、合法的に自らを取り巻くあらゆる制約を回避して自由に生きていこうとしているのです。

 

 →第4号 ▼Failure
       >File #1-1
       〜ビジネスパートナー選びこそ成功への第一歩〜 に続く

 

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